第10章

車は黙ったまま走り続けていた。

「……あれは友人だ」

しばらくして、ネロがようやく口を開く。

「家も、友人の」

「ふうん」

アランはネロの私事に踏み込みたくない。友人が誰だろうと、知る気もない。

「……悪かった。勝手に入り込んで」

ネロは一拍置き、アランの横顔をうかがいながら慎重に続けた。

「昨夜、電話した。でも出なかった。昼に君のところで、例の案件のファイルが目に入った。中は見てない。覗くつもりもない。ただ……あの件は知ってる。君の顔色が悪かったから、ロブに電話した」

ネロからの着信は、アランが急いでいたせいで意図的に無視した。ロブがどんな声で応じたか、想像がつく。まさか...

ログインして続きを読む