紹介
まさか三日後、特命捜査班の発足を報じる場で、ジェイスが自分の直属の上司になっているとは思ってもみなかった。
さらに、自分が追う事件の進展が、ジェイスの心の一線を一歩ずつ揺るがしていることなど、知る由もなかった――。
人は過去に縛られ、抜け出せずにいる。
敏感さと自尊心をどう消し去り、新たな起点を見出して、再び歩き出すのか。
華やかな都市、巨大な渦、夜に潜む無数の暗流、そして決して幸せになれない人々。
悲しみに包まれるのか、それとも憎しみに駆られるのか。正義を貫くのか、それとも堕落し、売り渡すのか。
正義を追う警官、裏切りに満ちた人生。それはやがて、巨大企業グループの暗闘、そして権力の背後に隠された過去へと、一歩ずつ近づいていく――。
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「すべての愛が次第に遠ざかるとき、私は罪悪と共にあり、胸の奥に残る唯一の炎を守り続ける」
長い歳月の隔たりが眼前に横たわり、越えることはできない。運命はまるで、捉えどころのない謎解きのようだ。
川を越えて対岸を見つめる。いったい、どちらが私なのか。
「死者は口を開かない。アラン、過去のことはもう追及するな」
チャプター 1
第一巻 組織の仇
一代は過ぎ去り、一代は来る。しかし地は永遠に変わらない。
日が昇り、日が沈み、また昇った場所へと急いで帰っていく。
風は南へ吹き、北へと転じ、絶えず巡って、また巡りの道へ戻る。
川はみな海へ流れ込むが、海は満ちない。川はどこから来たのか――またそこへ帰っていく。
日の下に新しいものはない。
――『旧約・伝道の書』
ベッドが激しく揺れ、耳元で荒い喘ぎがぶつかり合う。部屋には濃い雄の匂いが充満し、屈強な男が獣じみた動きで腰を打ちつけていた。
やがて、ベッドの悲鳴が止む。荒い息も次第に落ち着き、室内に静寂が降りた。
アランは鍛え上げた胸元の汗を拭い、身体を引き抜く。少し意外だった。ベッドの上にいるのは――男が二人。
下の男はすでに力が抜けきっていて、震えるような声を漏らしながら、アランが手を離した途端に、太い脚の間へと崩れ落ちそうになる。アランは肩を掴んで引き上げ、ベッドの奥へと引きずった。
アランは市東部の警察総隊長だ。三日前、街で最大級のナイトクラブで、この男と出会った。
その夜、約束していた相棒のウィリが急な任務で来られなくなり、電話を切ったアランは退屈に周囲を見回した。
背後の少し先、隅に近い席で、ひとりの若い男が目に留まった。黒いシャツに黒いパンツ。誰かの肩に頭を寄せて、俯いたまま話している。派手さはない。けれど、艶のある黒髪と、わずかに開いた襟元、首を傾ける仕草が――なぜだか、目を離せなくさせた。
こういう場所に通い慣れているわけではないが、彼の隣にいる男がこの店の男娼、エイデンだということくらいは分かった。二人は頭を寄せ合い、手も重ねていた。
そのとき、若い男がふと顔を上げ、アランの方へ何気なく視線を投げた。
胸の奥が、かすかに跳ねる。
整った唇、黒く澄んだ瞳。ほんの一瞬の横目なのに、光が走ったように見えた。斜めに傾けた身体つきが、まるで意図的に誘っているみたいだった。
暗がりの中で、周囲の何人かもまた、飢えた視線をその男へ向けている。少し離れた席では、誰かが落ち着きなく身を乗り出した。
「よう、ベイビー!」
革装束の大男が二人、ふらつくように通り過ぎる。ひとりは投げキスをし、もうひとりは手を伸ばして尻を掴もうとした。アランはその様子を眺め、思わず口元を緩めた。確かに、あれは目を引く尻だ。
若い男はさらに俯き、怯えるように席の奥へ身を縮める。
「ハハッ!」
「新入りだろ? エイデンと一緒って時点で、どうせ同業だ」
二人は下品に笑いながら、からかうように去っていった。
しばらくしてエイデンが席を立った。残された若い男は黙ったまま、テーブルの模様を指でなぞり、ふと考え込んだように動きを止める。
アランは迷わなかった。グラスを手に、その席へどかりと腰を下ろす。大きな手を自然に相手の肩へ回し、シャツ越しに揉む。
「賭けてもいい。お前が何を考えてるか、俺には分かる」
若い男はちらりとアランを見たが、何も言わずに視線を前へ戻した。遠くのステージでは、性別も判然としない半裸の身体が妖しくくねっている。
アランは耳元へ唇を寄せ、低く囁いた。
「熱いモノが欲しいんだろ」
若い男はぎゅっと目を閉じた。
アランの手が背中を滑り、腰で一瞬止まり、丸みのある臀へ落ちる。慣れた指先で弄ぶと、相手の呼吸が勝手に乱れ始める。
アランは喉で笑った。
「ずいぶん素直じゃねえか。相当、溜まってるな」
若い男が顔を向ける。数秒だけ、瞳に悲しみと嘲りがよぎった。視線はアランの厚い胸板へ落ち、唇がわずかに動く――言葉にならない。迷った末、細い手がそっとアランの胸筋へ触れた。
アランは笑う。自分の体格と筋肉が、こういう場では何より雄弁なことを知っている。
「もう硬くなってんだろ」
身体を密着させ、片手を背後から臀の割れ目へ滑り込ませて、遠慮なく揉み込む。もう片方の手は内腿を撫で上げ、股間へ向かう。
若い男の喘ぎがさらに荒くなり、やがて堪えきれずに声が漏れた。
彼は身を屈め、アランの胸板へ唇を押し当てる。熱い舌が這い、乳首を噛んで吸い上げた。
アランは顎を持ち上げさせ、目を覗き込む。
「今夜は泣いて許しを乞うまで、逃がさねえ」
「ん……」
若い男の瞳はとろけるように霞み、アランにもたれかかったまま、掠れ声で言う。
「……ここから、そう遠くないところに……部屋、ある」
最新チャプター
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***
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——
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そんな折、頂点に君臨する名門の若様が、彼女をそっと腕のなかに抱き寄せた。
「誰が彼女を田舎くさい地味女だと言った? 彼女こそ、俺・諏訪淳行の婚約者だ」
紅蓮が流し目をひとつ送る。
「婚約、破棄しなくていいの?」
「しない」
彼が長いあいだ追い求めてきた決して手の届かない高嶺の花こそが、いま腕のなかにいる婚約者なのだ。
解消などありえない——この婚約は、死んでも解消しない。
妻が去り、妊娠を知った俺は、ただ泣き崩れるしかなかった
しかし、結婚して5年後、彼は離婚を切り出した。その時初めて、彼の想い人が私の父の隠し子(私の異母兄弟)だと知った。
離婚を決意した七海だったが、その時にまさかの妊娠が判明した。
セカンドチャンス 億万長者のパパ
それから何年も経ち、私は息をのむほどの映画スターへと変貌を遂げた。そして再び、あの裕福な青年と道が交わった。だが――胸が沈んだ。彼は私だと、気づきもしなかった……。
私が去った日
けれど最後に彼が選んだのは、私ではなく、彼の初恋の女性だった。
夫は、私の心を深く傷つけただけではない。あの女が私の大切なジュエリーデザインを盗むことを許し、さらには実の息子までも操って、私を「怪物」だと思わせた。
嘘で塗り固められた結婚生活の中で、私は少しずつ自分を失っていった。
息が詰まるような日々。愛されていると思い込んでいた時間。すべてが偽りだった。
けれど、彼らはひとつだけ間違えた。
私を、もう戻れないところまで追い詰めたこと。
私が去ると決めたあの日。
私は、最低な夫も、母親への感謝を忘れた息子も、そして彼らによって壊された過去の自分も、すべて置き去りにした。
親友の支え。そして、私の本当の価値を見抜き、才能を認めてくれたある若き実業家との出会い。
その温かな手によって、私はもう一度、自分自身を取り戻した。
失った誇りを取り戻し、眠っていた才能を開花させ、世界へ羽ばたくデザイナーとして新たな人生を歩み始めた。
今、私の作品は世界の舞台で輝いている。
一方で、かつて私を捨てた男は、跪いて許しを乞う。
「戻ってきてくれ」と。
けれど、もう遅い。
私が去ったあの日こそが、私が本当の自分を取り戻した日。
もう二度と、過去には戻らない。
偽りの仮面
彼は、私との間に子供を授かることさえ望んではいない。
そればかりか、外では他の女性と戯れ、私の心を深く傷つける。
逃げ出したい。強く、自立した女性になりたい。
そう願う私を、しかし、彼が手放すつもりは毛頭ないようだった……。
捨てられたルナの復讐
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ベラは嘲るように微笑んだ。「その子の父親は、あなたじゃないわ」













