第107章

漆黒の路地が、両側の高層ビルの影に挟まれている。そこはニューヨークの夜の、いちばん深い底だった。

遠くで瞬くネオンが、闇をいっそう濃くする。

左右の壁は冷たく硬く、汚れ、ざらついている。

風が抜けても、音ひとつ立たない。

車内の二人は、前方の路地をじっと見据えていた。

通りの大半は空っぽだ。だが遠く、街灯の下に三人――濃い化粧を塗りたくった連中が立っていて、太腿を揺らしている。乱れたウィッグが目尻の汚れたアイシャドウを隠し、そのうちの一人は顎を反らして煙を吐いた。男か女か、判然としない。

さらに奥。ネオンが一本だけ灯る小さな路地口をくぐれば、壁一枚隔てた向こうは、別世界だ。

そ...

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