第127章

ネロは疲れ切った身体を引きずるようにして住まいへ戻り、庭門をくぐった瞬間――足が止まった。

門の脇から見える、通りに面した家のガラス窓が、粉々に割られていたのだ。

驚きで固まったまま、ネロは散らばった破片を見つめる。頭の中が真っ白で、何を感じればいいのかすら分からない。

背後では夕陽の残り火がみるみる薄れ、周囲の温度がふいに落ちた気がした。突風が吹き抜け、小さな町道の縁の埃を巻き上げる。砂粒が壁にぱちぱちと当たった。

我に返って周囲を見回す。小道はがらんとして人影ひとつない。静寂だけが張りついている。道端には乾いて裂けた薪の山があり、壁に枯れた影を落としていた。遠くでは、片脚を引きず...

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