第40章

郊外の別荘。月光の下、ベッドの上のアジア人が、無意識に小さく喘いだ。

床に座っていたネロはちらりとそちらを見やり、異変がないと確かめると、また窓の外へ視線を戻す。

古い屋敷のステンドグラスに月が差し、そこに走る一本のうねった亀裂をくっきりと浮かび上がらせていた。

感情のひびも、花瓶の内側にできた見えない傷みたいなものだ。気づかないうちに、じわじわと伸びていく。ある日ふと持ち上げた瞬間――その花瓶が、もう粉々だと知る。

ダラス。

車内で、ジェイスとヒルは向かい合って座っていた。運転席側には運転手とボディガード。仕切りの向こうだ。

リムジンは滑るように走り、旅路はどこか物寂しい。

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