第95章

食卓が、すっと静まり返った。

周囲の連中は一斉にナイフとフォークを止める。

長い沈黙ののち、ヒギンズが陰った目で手を伸ばし、それを受け取った。

だが客は、くるりと笑ってワインをひと口含む。

「ヒギンズ。毎年、上乗せで20%。どうだ? 元の取り分はそのまま」

口元を軽く拭い、さらりと言った。

「――今夜のもてなしへの礼だ」

食卓は、鸦雀無声。

ヒギンズは疑い深く正面を睨みつけ、わざとらしく大笑いした。カラスみたいな嗄れ声が響く。

「で、条件は?」

「奴隷を一人、買う」

客はきっぱり言い切った。

視線が、さっと客に突き刺さる。誰もが信じられないものを見る目で、彼を見た。

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