第5章

私のスマホ画面で、LINEグループの通知が絶え間なく点滅していた。

家族がようやく私の部屋に踏み込んだらしい。ビデオ通話越しに、彼らの表情が焦りから驚愕へと変わっていくのを、私はただ静かに見ていた。

「なんだ、これは!」

スピーカーから大介の怒声が響く。彼はがらんとした私の部屋を見回していた。私の私物は、すべて跡形もなく消えている。

カメラがぐらりと浴室に向き、母・幸子の甲高い悲鳴が鼓膜を突き刺した。

「血! 血だらけじゃない!」

バスタブは真っ赤な水で満たされており、息が詰まるような光景だった。私は冷静に画面を見つめる。これこそが、私が家を出る前に残してきた「傑作」な...

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