第8章

彩羽視点

 心臓が肋骨を内側から激しく叩く。まるで囚われた鳥が、籠の格子にその身を打ちつけるみたいに。

 言え。

 言葉が鉤爪となって、喉の奥を掻きむしる。

『あんたの子よ、この大馬鹿野郎。あんたの目をしていて、あんたと同じくらい強情で、あんたが犯した過ちなの』

 私は口を開く。けれど零れ落ちたのは告白ではなく、押し殺したような嗚咽だった。

 彼は「私」を見ていないからだ。彼が見ているのは一人の被害者。誰かに孕まされ、無力で哀れで、偉大なる弥介様が舞い降りて恥辱を拭い去ってやるべき、「使用人の娘」としての彩羽だ。彼が愛しているのは救済対象としての弱き乙女であって、自分を破滅させう...

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