第9章

 雷鳴が鞭のように空を打ち据え、アパートの窓ガラスが悲鳴を上げた。

 そして、闇。西宮の屋敷で起きたあの惨劇から、私の視界はずっとこんなふうに閉ざされたままだ。

 私は手探りでスマホを掴み、ライトの光で闇を切り裂くように周囲を照らした。

 ドンドンドン。

 重く、急かすような音。

 私は危うくスマホを取り落とすところだった。

「誰?」震える声が、私の動揺を裏切っていた。

「彩羽。開けろ」

 弥介だ。

「帰って、弥介!」私はドア越しに叫んだ。

「あんたの弁護士なんていらない。お金もいらない。同情なんて、もっといらない!」

「俺はそんなもののために来たんじゃない!」彼もまた...

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