第15章 わざとじゃない

片瀬奏太は隣に座っていた。力が強いぶん、もうナイフとフォークで食べ物を切り分けるのも手慣れたものだ。小さな背筋をぴんと伸ばし、几帳面に動かす手元に乱れはない。

瀧本知暁は上座に腰を据え、その三人を眺めていた。冷ややかな横顔も、灯りの下ではわずかに柔らぐ。刃先が皿に触れて「カチ…」と鳴る音すら、今夜は妙に温かく感じられた。

「奏太、奈菜。ケーキ焼いたの。早く食べてみて」

片瀬結希が穏やかな笑みを浮かべ、白いの小皿を二枚手にして入ってくる。

彼女はケーキをそれぞれのデザート皿へ分け、片瀬奈菜と片瀬奏太のぶんには粉砂糖を少し多めに振った。声も甘くやわらかい。

「熱いうちに食べると、ふわふ...

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