第16章 旧友

瀧本知暁が足早に駆け寄り、かがんで片瀬結希を抱き起こした。肘に擦りむいた赤い痕を見つけると、眉間の皺はいっそう深くなる。続いて片瀬奏太と片瀬奈菜へ向けた視線からは、すでに欠片ほどの温度も消えていた。

「誰の許しで手を出した」

「そっちが先に、ママのこと悪く言ったんだもん!」

片瀬奈菜が勇気を振り絞って叫ぶ。片瀬奏太も顔を真っ赤にした。こんなの、どう見たって言いがかりだ。

「もういい! 瀧本家で勝手をするな!」

瀧本知暁は、明らかに二人の言い分を信じていなかった。彼の中で片瀬結希は、いつだって穏やかで人当たりのいい女だ。そんな彼女が、なんの理由もなく子どもを罵るはずがない。きっとこの...

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