第19章 闇

みるみるうちに空が沈み、闇が潮のように押し寄せて、わずかに残っていた光まで一瞬で飲み込んだ。

今夜は街灯すら点いていない。重たく垂れこめた雲が、唯一光を落とせるはずの月さえ覆い隠し、見渡すものすべてが濃密な黒に塗りつぶされていた。

オフィスは、自分の鼓動さえやけに大きく聞こえるほど静かだった。幼いころ、物置に閉じ込められた記憶が不意に堰を切る。闇に包まれて身動きひとつ取れなかった、あの息の詰まる感覚――それが片瀬澄乃の全身から、さっと熱を奪った。

「瀧本知暁? 何してるの。電気つけて!」

呼びかけた声は、がらんとした部屋の中で、ひどく頼りなく響いた。

返ってきたのは、ただの沈黙だけ...

ログインして続きを読む