第214章 オークション

オークションが始まって間もなく、赤いルビーをあしらったネックレスが初田愛菜の目に留まった。愛菜は瀧本知暁の袖をちょん、と引き、囁く。

「知暁、これ見て。色がすごく綺麗だし、デザインも派手すぎない。澄乃がつけたら、絶対似合うよ」

瀧本知暁は彼女の指す先へ視線を滑らせた。たしかに、片瀬澄乃の雰囲気に合いそうな品だ。彼は迷わず札を上げ、競りに参加する。

何度か値がつり上がった末、落札額は800万。瀧本知暁が、そのネックレスを手に入れた。

隣の席にいた数人の実業家が、顔を寄せ合ってひそひそと囁き合う。

「瀧本社長って、片瀬さんと揉めて大騒ぎになってなかったか? もう別の女かよ」

「さっき...

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