第217章 白岡幸矢

「もちろん! 食堂の開放、毎日たった30分しかないの。遅れたら冷えた残り物しかないか、最悪、飯抜きだよ! しかも今日はステーキ! 出遅れたら秒で消える!」

二人はそのまま食堂まで全力疾走した。案の定、配膳口の前にはすでに長い列ができている。

並びながら、片瀬澄乃は人の流れ越しに食堂の隅へ目をやった。迷彩服の女子が、背筋をぴんと伸ばして歩いていく。切りそろえた短髪、鋭い眼つき。全身から「近寄るな」と言わんばかりの強気な圧が滲んでいた。手には、やけに洒落た保温容器。

白井舞も澄乃の視線を追い、慌てて声を落とす。

「……あれ、熊田明音。家が高級ブランド系の商売でさ、白岡家とも多少付き合いあ...

ログインして続きを読む