第29章 いとこ

瀧本知暁は、ちらりと見る気すらないとばかりに吐き捨てた。

「失せろ」

白岡英介は鼻で笑い、言い返そうとした――が、その視線が、監視病室の大きなガラス越しに病床の片瀬澄乃を捉えた瞬間。

まるで、時間が止まった。

芸能界の「美人」などいくらでも見てきた。だが、病の白さをまといながら、こんなにも息を奪う女は初めてだ。眉根はわずかに寄り、長い睫毛が蝶の羽のように震える。血の気の薄い淡い桜色の唇。そこへ、頬に貼りつく一筋の後れ毛が、壊れそうな儚さを添えていた。

作り上げた精巧さじゃない。生の温度を残したまま、脆さと芯の強さが同居する美しさ。胸の奥を、きゅっと掴まれる。

白岡英介の鼓動が一拍...

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