第51章 曖昧

社長専用エレベーターで、瀧本知暁はほどなく緋色へ着いた。

片瀬澄乃はちょうどデザイナーたちと新しいデザイン案を詰めているところだった。ふいに現れた瀧本知暁を見た瞬間、眉がきゅっと寄る。

――何しに来たの。

まさか、謝れとでも言いに?

「瀧本社長、どうされたんですか」

片瀬澄乃は熱のない声で問うた。

瀧本知暁は周囲の面々に目もくれず、ただ彼女だけを見て言う。

「君のオフィスへ行こう。話がある」

片瀬澄乃は一瞬ためらったものの、結局は彼のあとについて執務室へ入った。瀧本知暁は無造作に扉を閉め、外の気配をきっぱり遮断する。

「瀧本社長、ご用件があるなら手短にお願いします。私、忙し...

ログインして続きを読む