第57章 探り

「はい、瀧本社長」

伊崎大輝はそれ以上を聞く勇気がなく、即座に返事をした。社長の声の奥に、押し殺した怒りが滲んでいる。――ただ事じゃない。

瀧本知暁は通話を切ると、椅子の背にもたれ、目を閉じた。

脳裏に何度も浮かぶのは片瀬澄乃の姿。見知らぬ男がマンションへ入っていく、あの映像。やり過ぎだと自覚はある。それでも止められない。

あの男が誰なのか。澄乃とどういう関係なのか。知ってしまわなければ、息ができない。

夜は更けても、瀧本のオフィスだけが白々と明かりを灯していた。伊崎からの報告を待ちながら、同時に――自分を納得させる「安心の理由」を待っている。

一方、片瀬澄乃は三人の子どもを寝か...

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