第66章 朗報

片瀬澄乃が鍵をかけ終えた途端、前谷琴音は彼女が体勢を整える間も与えず、すっと距離を詰めてきた。声を潜め、からかうように言う。

「やるじゃん、澄乃。真夜中に、あの人の車から降りてくるとかさ。さっき中で何してたの? あんな至近距離で――あと一秒遅かったら、私、無料上映見せられるとこだったんだけど?」

「やめてよ。仕事の話しただけ」

「瀧本知暁の目がね、仕事の顔じゃなかったけど?」

片瀬澄乃は諦めたように息を吐いた。琴音には誤魔化しが利かない。今夜、レストランから車内に至るまでの出来事を、要点だけ拾って話していく。

「要するに、嫉妬でしょ」

前谷琴音は短くまとめると、少し首を傾げて考え...

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