第8章
警察がドアを突き破ったとき、真樹はリビングの床に座り込んでいた。手にはまだナイフが握られている。「俺じゃない。俺じゃない」と、うわ言のように繰り返しながら。
咲良はドアのそばに倒れていた。息はなかった。
ニュースは三日間、ひっきりなしに報じられた。最初は「天才画家の詐欺発覚」。次に「殺人犯・工藤真樹、現場で逮捕」。世間の反応は、彼を詐欺師呼ばわりするものから、化け物扱いするものへと変わっていった。
判決は仮釈放なしの無期懲役。刑務所の中で、彼は正気を失ったらしい。来る日も来る日も壁に向かって話しかけ、莉々の名前を呼び続けているとか。誰も彼の言葉を理解できないそうだ。
咲良の...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
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