第20章 恨みがあるなら愛がある証拠

牧野龍哉の顔から笑みがすっと消える。

「……どうしてだ?」

正直、腑に落ちないという顔だった。

七海は困ったように笑って肩をすくめる。

「もう離婚するのに、今さら細かいことを気にしてどうするの? 風間家みたいな名門、私は一度関わって痛い目を見た。わざわざ二度目をやる必要なんてないでしょ」

七海は基本、やられたらやり返す性格だ。だが場面を選ぶ理性もある。

風間家を敵に回して、得になることは何ひとつない。

「……それでも、恨まないのか?」

牧野龍哉が眉間に皺を寄せる。

「世間の目では、君の夫と君の妹が“お似合い”だ。なのに君はどうだ? 風間悠希のそばで三年――植物状態からここま...

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