第70章 本当に惨めで、嫌な気分だ

電話がつながると、向こうから石川翼の声がした。

「今、邪魔してないよな。ちょっと話せる?」

相手が彼だと分かった瞬間、七海は眉をきつく寄せ、ゆっくりと目を開ける。数秒だけ意識を整えてから、短く言った。

「……用件」

石川翼がくすりと笑う。

「福原遥人がさ、お前のLIME欲しいって。どうする? 俺、渡しといたほうがいい?」

その言葉に、七海は上体を起こし、じんと痛むこめかみを指で揉んだ。

「……あんたたち、何を話したの?」

「別に大したことじゃない」石川翼は困ったように息を吐く。「若い子が、顔も知らない相手に一目惚れしたってだけ」

相変わらず要領を得ない言い方だ。普段なら突っ...

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