第71章 あの過去を手放す

風間悠希は、自分でも気づかないうちに、ひとりベランダに立ち尽くしていた。どれほどの時間が過ぎたのかは分からない。ただ部屋へ戻ったとき、リビングの灯りはすでに消えていた。

風間家では、巡回の者を除けば皆が休んでいる。

眠れないのは、彼ひとりだけだった。

翌朝。

階下へ降りると、リビングにいるのも彼ひとり。

山下さんの答えは簡潔だった。風間爺さんは病院へ検査に行ったのだという。

七海については、夜明けと同時に出ていったらしい。どこへ行ったのかは分からない。悠希は怖くて、訊けなかった。

その返事を受けても、風間悠希は黙ったまま食事を続けるだけだった。

山下さんはそんな様子に、困った...

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