第76章 元妻執着しすぎている(

風間悠希は黙って彼女を見つめていた。まるで石川佳純の胸の内をすでに解体し終えたかのような視線に、佳純は途端に居場所を失う。

――今ここで言わなければ、きっと取り逃がす。

風間悠希が突然その申し出を引っ込めるのが怖くて、石川佳純は腹を括った。

「……五百万で、十分です!」

これ以上ぐずぐずしていたら、ゼロになる。そうなったら元も子もない。

風間悠希は引き出しを開け、白い紙を一枚取り出して佳純に差し出した。

「口座番号を書け。今日の17時までに振り込ませる」

石川佳純は慌てて頷き、紙を受け取る。頬の緩みが抑えきれない。上がりきった口角が、今の浮かれ具合を雄弁に物語っていた。

彼女...

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