第80章 それが本当の彼女だった

水原母は口を開きかけた、そのとき――不意に着信音が鳴った。

水原美月のスマホだ。

美月は視線を落として端末を手に取り、発信者を確認した瞬間、顔色がわずかに変わる。すぐさま水原母を見た。

「ママ、ちょっと電話出てくる」

水原母は頷き、美月が階段を上っていく背中を見送った。

どうやら、よほど大事な用らしい。

水原母はしばらく座っていたが、やがて立ち上がり、明日のパーティーで美月が着るドレスの支度をするために二階へ向かった。

美月の部屋の前を通りかかったとき、扉の向こうから声が漏れてくる。

「分かってる。そんなの、私だってどうでもいい。欲しいのは一言だけ――いつになったら七海を、私...

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