第89章 普通の友達としてだけ

風間爺さんは小さく咳払いをして、こくりとうなずいた。

「わしも、まったく同じことを考えとった」

「今のわしの身体なんぞ、ただ生きる時間を延ばしているだけにすぎん。あとどれだけ生きられるかなんて、とうの昔に天が決めた寿命だ。本人のわしが悲しくもないのに、お前たちが無駄な手間をかけてまで命をつなぐ必要がどこにある」

そう口にした風間爺さんの目には、澄みきった光が宿っていた。

生と死は、もう見切っている。周りの人間みたいに執着もしない。

この歳まで生きて、風間悠希の結婚を見届けられた。それだけでも、運がよかったのだ。

――ただ。

風間悠希と七海が結ばれ、子どもを抱く日を見られないかも...

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