第11章 母親の形見

千野教授は穏やかで慈しむような眼差しを清水若菜に向け、ふう、と小さく息を吐いてから、静かに語り始めた。

「このところ、君のことをずっと見てきたし、いくつか検査もさせてもらった。医学界を離れて長いのに……君の才能は少しも衰えていない。むしろ、以前より肝が据わっている」

「私のそばで助手をしているなんて、君には狭すぎる。才能を埋もれさせているだけだ」

清水若菜は一瞬、言葉を失った。

「……先生、それは……どういう」

「九条辰哉の誘いを受けなさい」

千野教授の声は、いつになく真剣だった。

「彼の製薬会社に入って、最先端の医療プロジェクトに参加するんだ」

「九条辰哉のところなら、君に...

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