第31章 無条件に彼女へ偏る

翌日の午前、病室の扉が勢いよく押し開けられた。

名取星美が嵐みたいに飛び込んでくる。腕いっぱいに明るい黄色いアレンジメントを抱え、足取りも勢いそのまま。ヒールが床をドンドンと鳴らした。

「義姉さん! こんな大ケガしてるのに、なんで家の誰も教えてくれなかったの!」

三歩を二歩で詰めるようにベッド脇へ来ると、アレンジメントをサイドテーブルへどんと置き、清水若菜の右腕――ギプスで固められ、三角巾で胸元に吊られたそれを上から下までじろじろ見た。眉間の皺は、虫でも挟み潰せそうなほど深い。

「私、今日やっと知ったの。最初は温井有紗が殴られたって聞いて、正直ちょっと嬉しくてさ。どれだけザマぁになっ...

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