第45章 私を甘く見すぎだ

清水若菜は表情を崩さないまま、向かいの男を見つめた。名取賢次に五分ほど似ているのに、そこにあるのは血の温度ではなく、刺すような冷たさだけ。胸の奥が、じわりと酸っぱくなる。

「……それで、いまのお話はどういう意味ですか」

口にした声は、自分が想像していたよりずっと落ち着いていた。

「私に、彼のそばから消えろってことですか」

名取浩史は薄く笑い、湯呑みに口をつける。

「君は賢い。なら、どうすべきか分かるはずだろう。賢次はこれから大きな仕事をする人間だ。名取グループの伸びを見れば分かる。あいつに必要なのは、苦労を共にするだけの女じゃない。さらに上へ引き上げてくれる相手だ」

言葉は丁寧な...

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