第5章

 パトカーが私道に停まった時、手元のスマホが光を放った。

 平野光希からのショートメッセージだった。

 『ショックを受けている』小崎美由と空を落ち着かせるために残るから、君は先に寝ていてくれ――そう書かれていた。

 暗闇に沈む車内、液晶の冷ややかな明かりだけを頼りに、私はその文面を何度も、何度も読み返した。

 やがて、涙は出なかった。代わりに、乾いた笑い声が喉から漏れた。

 本来なら、娘が卒乳するまで、体力が回復するまで、そして優秀な弁護士を見つけるまで待ってから、体裁よく去るつもりだった。けれど、その瞬間、理性的だった雨宮サラーは死んだのだ。

 虚飾と嘘に塗り固められたこの家に...

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