第5章

「俺が……迎えにやらせただと?」

 マルクは使用人の肩を掴んでいた手を離し、よろめくように一歩後ずさった。

 このファミリーにおいて、彼以外でこれほど完璧に彼の名を騙り、組織のリソースを動かし、側近たちすら欺ける人間はただ一人。

 クロディーア。

 その時、扉が乱暴に押し開かれた。

 入り口に仁王立ちするクロディーアは、肩で荒く息をしており、その全身から怒気が立ち昇っている。

「マルク・ムレーディ!」彼女は金切り声を上げた。

「よくも私を婚約披露の宴に一人残してくれたわね? 一族の重鎮たちが揃っている前で! 気が触れたの!」

 マルクはゆっくりと顔を上げた。

「あいつらを連...

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