第7章

法廷の向こう側の席に、香織が座っていた。彼女のお腹はもう平らになっていた。二日前に、流産したのだ。

「本当に、ごめんなさい……」彼女はかろうじて聞こえるほどの声で私にむせび泣いた。「彼が本当に私を愛してくれているんだって、そう思ってたの」

かつては腸が煮えくり返るほど憎んだこの女性を前にして、私が感じたのは空虚な同情だけだった。

「あなたもただの被害者なのよ、自分の体を大切にして」

「捜査への協力を鑑み、山本香織には執行猶予を与えるが、即時国外退去を命じる」裁判官は続けた。「未成年者である美咲は、遠縁の親戚に引き取られることとする」

美咲は私の方を見なかった。ただ黙って、自分...

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