第4章
由美視点
二階で荷造りをしていると、外で車が停まる音が聞こえた。窓から亮の黒いセダンが見える。約束より早い。
スマホが震えた。
『準備できたか?外にいる』
小さなダッフルバッグを掴んで、階下へ向かう。玄関には、あの全てお見通しだと言いたげな笑みを浮かべた蒼井さんが立っていた。
亮は黙って私のバッグを受け取ると、トランクに放り込んだ。
「それで、どこに行くか教えてくれるの?」と私は訊ねた。
彼はトランクを閉める。「三時間のドライブだ。着けばわかる」
助手席に乗り込み、後部座席に目をやる。「どうしてそんな大きなスーツケースが二つもあるの?週末だけでしょう」
彼は車...
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