第6章

私はバルコニーに立ち、手すりを強く握りしめながら、東京の華やかな夜景を見下ろしていた。

かつて、この街は私にとって希望と夢に満ち溢れていた。だが今となっては、ただの牢獄の延長に過ぎない。

「藤原さん、一つ、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

藤原圭志はちょうどキッチンから水を一杯持ってきたところで、私の声を聞くとわずかに眉をひそめた。彼は最近、時折この青松庭園マンションにやって来るが、その度に何か義務を果たしに来たかのようで、気遣いから来るものではなかった。

「何だ?」

彼の口調には苛立ちが滲んでいた。

私は息を深く吸い込み、出来る限り平静を装って尋ねた。

「神崎凛と...

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