第27章

松本彩世はゆっくりと目を開けた。視界に飛び込んできたのは、病院特有の、眩しいほど白い天井。

下腹部を引き裂くような痛みは引いている。代わりに残っているのは、命拾いしたあとの、骨の芯まで染みるような脱力感だった。

耳元で、抑えた声なのに容赦のない叱責が響く。

「あなた、旦那さんとしてどうなの? 妊娠初期はただでさえ不安定なのに、こんな刺激を与えるなんて! 寒い中、外に出して冷たい風に当てたうえに転倒? 搬送が遅れてたら、この子は助からなかったのよ!」

松本彩世が声のほうへ視線を向けると、ベッド脇に年配の女医が立っていた。眉間に皺を寄せ、立花千時を真正面から叱り飛ばしている。

立花千時...

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