第35章

深く息を吸い込んだ新谷寒季は、もう堪えきれず、病室の扉を乱暴に押し開けると、そのまま大股で中へ踏み込んだ。

「ふざけたこと言うな!」

新谷寒季は目を赤くし、低く掠れた声で吐き捨てた。

物音に、ベッドの上の母娘はびくりと身を強張らせる。だが次の瞬間、二人は一瞬だけ視線を交わし、してやったりとでも言いたげな色を滲ませた。

「寒季……? あ、あなた、どうしてここに……」

渡辺春帆は慌てて涙を拭い、立ち上がる。ひどく気まずそうに、居心地悪そうに、さっきの話を聞かれたことがたまらなく恥ずかしい――そんな顔を作ってみせた。

「わ、私も……凛がかわいそうで、つい口が滑っただけなの。気にしないで...

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