第41章

ロマンチックに落とされた薄闇と、揺れるキャンドルの灯り。その中で、画面いっぱいに暴れるように点滅する「松本凛」の三文字だけが、やけに目に刺さった。

新谷寒季の心臓がどくんと跳ねる。火傷でもしたみたいに手がもつれて、慌ててマナーモードに切り替え、スマホをひっくり返してテーブルに伏せた。

瞳の奥に走ったのは、ほんの一瞬の狼狽。反射的に顔を上げ、向かいに座る松本彩世を見る。

「出ないの?」

松本彩世はゆっくりとステーキをひと口大に切り、何でもないことみたいに口へ運ぶ。まぶたすら上げず、ただの世間話のように投げた一言だった。

新谷寒季の喉仏がぎこちなく上下する。後ろめたさを隠すように、引き...

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