第63章

松本彩世はさらに札を切った。

「この$200万を受け取って、帝都から消えなさい。路上で日銭を稼ぐ生活ともおさらばできる。でも、もし私に手を出したら――新谷家も松本家も、あなたたちを絶対に許さない。たかが手付金のために命を捨てる価値、ある?」

傷顔の目が揺れた。明らかに損得を天秤にかけている。

膠着しかけた、その時。

脇に立っていたタクシー運転手が、ふと気づく。

松本彩世は顔面蒼白で怯えているのに、視線だけが何度も巷口へ走っていた。

「ボス、こんな女の口車に乗るな!」

運転手が吐き捨てる。

「時間稼ぎだ。助けを待ってる! さっさとやれ、動画撮って金だけ持って消えろ!」

その一...

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