第64章

大鬼はスマホを掲げ、レンズを衣服もまともに身につけられないまま、みじめに崩れた渡辺春帆へ向けた。辱められる瞬間を、逃げ場のない角度で、はっきりと撮り切る。

「いいか」

大鬼は渡辺春帆の血の気の引いた頬を、ぺちぺちと叩いた。声は氷みたいに冷たい。

「3日以内に、俺の兄弟を署から出せ。それと口止め料に500万ドル用意しろ。できなきゃ――この動画、全部のSNSに流す。帝都中にお前のツラを売ってやる。……失せろ」

渡辺春帆はぼろぼろのまま、モーテルの外へ放り投げられた。

夜風が肌を刺す。

絶望に膝が砕け、路肩へへたり込み、震える指で救急へ電話を入れる。

深夜、帝都私立病院。

松本凛が...

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