第66章

その言葉が落ちた瞬間、あたりの空気が凍りついた。

松本凛は目を見開いたまま固まり、涙が出ることすら忘れていた。

目の前の男を見つめる視線は、まるで初めて会う狂人に向けるそれだ。

松本彩世を守るためなら、新谷寒季は最低限の倫理も善悪の感覚も投げ捨てる。

松本彩世が本当に人を雇って母娘を輪姦させたのだとしても、それは「当然」だとでも言いたげだった。

「新谷寒季……自分が何言ってるか分かってるの?」

松本凛は唇を震わせ、甲高い声が裏返る。

「私、だって――」

「黙って消えろ」

新谷寒季が怒鳴りつけ、言葉を叩き切った。目は陰に沈み、殺意めいた冷たさが滲む。

「もう一言でも抜かした...

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