第8章

松本凛の目がぱっと輝いた。ようやくのし上がる機会が来た――そう思ったのだろう。

彼女は反射的に新谷寒季の袖をつかみ、泣き声を滲ませてそのまま畳みかけようとする。

「お義兄さん――」

「黙れ!」

言い終わるより早く、新谷寒季が鋭く手を返し、松本凛の手首を容赦なく握り潰した。

骨ごと砕かれそうなほどの力。

松本凛は痛みにさっと顔色を失い、喉まで出かかった告白はそこで無理やり潰された。漏れたのは、苦しげなくぐもった呻きだけ。

新谷寒季は底冷えのする目で彼女を射抜いた。警告と、ぞっとするような殺気。その目はこう告げていた。これ以上ひと言でも余計なことを口にしたら、今すぐ消す――と。

...

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