第149章 恋敵

神崎松夫は、ぐっと息を呑んだ。唇がかすかに動きかけ――結局、何も言わずに閉じる。

まだ死にたくない。

孫が家庭を持つところも見ていないし、ひ孫を抱いてもいない。やるべきことは、まだ山ほどある。

結局、神崎松夫はおとなしく車に乗せられ、病院へ搬送された。

その夜、相馬悠真は病院で神崎松夫に付き添い、茅野芽衣と子どもたちは本邸で過ごした。

翌朝早く。

茅野芽衣は自ら台所に立ち、胃に優しい薄味の食事と、肺を養う薬を用意して病院へ向かった。

病室の前まで来て、扉を開けようとした瞬間――中から会話が聞こえた。

芽衣はそっと、扉の隙間から覗く。

神崎松夫は顔色を失い、ベッドに横たわって...

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