第27章 旧友

茅野芽衣の体内には、まだ睡眠薬の残りが回っていた。

ふらふらと前へ歩き、茅野美月の悪意に気づいたときには、もう間に合わない。

けれど腹の子を思えば、芽衣はどうしても落ちるわけにはいかなかった。

どこから出た力なのか、自分でも分からない。片手で橋の縁にしがみつき、激しくうねる川の流れを見下ろした瞬間、全身に冷汗が噴き出した。

その一方で、美月は芽衣を突き飛ばした反動で足元を崩す。

慌てて踏ん張ろうとして――ぐきり、と足首がねじれた。

そして、そのまま。

「きゃっ!」

あまりに突然の出来事に、誰もが反応できなかった。

がらんとした橋の上に残ったのは、茅野芽衣ただ一人。

水面に...

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