第53章 彼のもとへ戻る

間宮千鶴はレンズの陰に身を潜め、借景の角度で切り取った写真を見て満足げに目を細めた。

長年パパラッチをやってきた彼女は、どう撮れば人の想像を煽れるかを知り尽くしている。

それに――あの資産家のドラ息子だって、わざわざ間宮千鶴が引き寄せた獲物だった。

大金を積んでようやくこの船に潜り込んだのだ。手ぶらで帰るわけにはいかない。少なくとも「元」が取れるだけの爆弾を持ち帰る。

そして今、茅野芽衣が男ともみ合っている写真なら、茅野美月が食いつかないはずがない。

間宮千鶴はカメラ越しに、資産家のドラ息子に絡まれる茅野芽衣の姿を貪るように追い続けた。

思わず笑いが漏れそうになる。

「いいね…...

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