第3章

パトカーが去り、部屋は再び死の静寂に包まれた。

ブラインドの隙間から差し込む陽光が床に落ち、監獄の柵のような光の筋を描き出している。

思考の波が押し寄せる。昨晩、雫が家に帰ってきた時のことを思い返していた。楠木が雫に手を上げようと飛び出していったのを、私は必死で彼の足に抱きついて引き止めたのだ。

私はドアの外に向かって大声で叫んだ。

「もう遅いよ、雫。私、もう寝るから。あんたも早く寝なさい!」

外が数秒間、静かになる。私は息を殺し、太鼓のように鳴る心臓の音を聞きながら、未知の恐怖を待った。

やがて、妹の優しい声が聞こえてきた。

「お姉ちゃん、眠いから、もう寝るね」

足音が徐々に遠ざかっていく。

今度こそ、楠木の怒りを私一人で受け止めなければならないのだと思った。

ドンッ!

妹がシャベルを手にドアの後ろから飛び出し、楠木の後頭部へと容赦なく叩きつけた!

ガンッ!

楠木は悲鳴を上げて倒れ、頭部からどくどくと血が流れ出す。

私は呆然と、普段は優しく物静かな妹を見つめた。彼女の瞳には憎しみの炎が燃え盛っている。すべてを焼き尽くさんばかりの、あまりにも熾烈な炎が。

「あんたのせいよ! 私の人生を滅茶苦茶にしたのは!」

彼女は気を失った楠木を力任せに蹴りつけた。

「三年よ! 悪夢にまであんたの顔が出てくるの!」

その一撃一撃が、重く、力強い。

妹がこれほど怒りを露わにするのを見たのは初めてだった。いつもは小声で囁くように話す彼女が、今はまるで怒り狂った獣のようだ。

妹は私に振り向き、その眼差しは氷のように冷たく、凪いでいた。

「お姉ちゃん、お母さんが教えてくれた『手際』、覚えてる?」

私ははっとした。

「それって……解体のこと?」

妹は頷く。

「お母さん、言ってたよね。問題を完全に解決するには、根こそぎ断ち切らないとって」

楠木がゆっくりと意識を取り戻し、姉妹の眼差しを見て、瞬時に覚醒した。

彼は床に膝をつき、必死に命乞いを始めた。

「俺が悪かった! もう二度と来ない! 見逃してくれ! 金ならやる! いくらでも!」

妹は彼の前にしゃがみ込み、顔を近づける。その声は羽のように軽かった。

「あの時、私がお願いした時、あなたは見逃してくれた?」

楠木の顔が、一瞬で紙のように真っ白になった。

「雫、私たちは……」

私の声が微かに震える。

「お姉ちゃん」

妹は私の手を握った。

「私たちの未来のためだよ」

彼女の手は冷たかったが、とても固い意志が宿っていた。

私たちは力を合わせ、楠木を地下室へと引きずっていった。彼は必死にもがき、泣き叫んだが、その声は分厚いコンクリートの壁に遮られた。

地下室には、母が遺した解体道具が作業台の上に整然と並べられている。

薄暗い電球の光の下で、一本一本の刃物が冷たい光を放っていた。

楠木は中央の鉄枠に縛り付けられ、すでに涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしていた。

「頼む、本当に悪かったって分かってる! 父さんや母さんが俺を待ってるんだ……」

「三年前」

妹は鋭いナイフを手に取った。

「私にも家族がいて、夢があった」

刃先が楠木の目の前で揺れる。彼の瞳孔が開き、恐怖で全身が痙攣した。

妹はナイフを私に差し出す。

「お姉ちゃん、私たちの未来のために」

私はナイフを受け取った。手が震えている。

柄は重く、想像していたよりもずっと重かった。

妹の揺るぎない眼差しを見て、彼女の顔に浮かんだ三年間で初めての、本当の笑顔を見て、私は覚悟を決めた。

楠木の最後の悲鳴が地下室に響き渡り、やがて静寂に帰した。

すべてが終わった後、妹は私に強く抱きつき、泣きじゃくるような声で言った。

「お姉ちゃん、これからはもう、誰も私たちを傷つけられないよ」

私は彼女の髪を、小さい頃のように撫でてやった。

そうだ、もう誰も私たちを傷つけることなどできない。

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