第26章 彼女は騒がず、完全に彼の世界から離れる

理性の塊みたいな藤井修也が、完全に取り乱した。

ビジネスバンから降りてきた神崎将太を見た瞬間、立花結月がここに現れた理由を悟る。

つまり――トレンドは本当だった。彼女は本当に、神崎将太を連れてきたのだ。

藤井修也の第一反応は「騒がれる」ことへの恐れじゃない。

頭をよぎったのは、ただひとつ。

――結月を失う。

彼女はもう離婚を決めている。弁護士まで呼んだ。

しかも、白石莉緒と自分が一緒にいるところを見られた。

終わった。

今さら何を言っても、言い訳にしかならない。今さら何をどう説明したところで、この濡れ衣は晴らせない。

車を降りようとした小野秘書が、低い声に止められる。

...

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