第11章

 家庭裁判所での調停の末、翔真はついに離婚に同意した。

 調停調書の署名欄にペンを走らせる彼の手は、小刻みに震えていた。

 彼はすべての財産を放棄し、家の所有権も私に渡った。

 私はそれを辞退しなかった。当然受け取るべき慰謝料だからだ。

 朱里は翔真が引き取ることになった。別れ際、娘は不思議そうな顔で私に尋ねた。

「お母さん、どうして引っ越すの?」

 私は彼女の頭を撫でたが、何も答えなかった。

 翔真は潮見市の郊外に小さなアパートを借り、娘を連れて出て行った。

 かつての我が家はすぐに不動産仲介業者に依頼し、売りに出した。

 この間、離婚の話を聞きつけた遠藤葉月は、さらに常...

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