第28章
妃那視点:
次の瞬間、祈葉の身体がぐらりと仰け反り、そのまま車椅子ごと階段へと落ちていった。
身体と車椅子が一緒になって階段に叩きつけられる鈍い音が、ドンドンと響き渡る。聞いているだけで背筋が冷えるような音だった。
私は呆然と立ち尽くし、狂気でも見るみたいな目で祈葉を見下ろしていた。
これまで祈葉は、私を陥れることはあっても、自分の身体だけは絶対に傷つけようとはしなかった。
そんなに馬鹿じゃないからだ。自分はダンサーで、傷を残すわけにはいかないことを、彼女はよく知っていたから。
なのに今の祈葉は、自分の身体さえ利用して私を嵌めようとしている。この代償の大きさは、常軌を逸していた。...
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