第57章

祈葉視点:

「二百五十万!」

金彦が値段を見た途端、あわてて私の手を押さえた。

「祈葉、この品は妃那に譲ろう。あいつと張り合うのはやめておけ」

私は視線をガラス越しに向かいの特別室へ投げた。

妃那の目に浮かぶあからさまな得意顔と挑発的な色が、胸の奥をむかっとさせる。

わざと私を挑発してる――

何様のつもり?

自分の金でもないくせに、よくもまあ平然と札なんか上げられるわね。

私は一度考え、首を横に振った。

「金彦、三百万まで上げましょう」

思いもしなかったのか、金彦はぎゅっと眉間にしわを寄せた。

私は急いで続ける。

「ちゃんと理由があるの。最後まで聞いて。まず一つ目、...

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