第58章

祈葉視点:

 頭に血が上りそうだった。妃那がこっちに向かって、わざわざガラス越しに笑いかけてくる。明らかに挑発だ。

 前にあの女が仕掛けた罠のせいで、私はとんでもない無駄金を払わされた。そのくせ今回は安々とおいしいところだけ持っていって、心の中で私を馬鹿にしているに決まっている。

 あのクソ妃那。

 早く死ねばいいのに。

 腹立たしいのは、それだけじゃない。まさか本当に落札するとは思っていなかったからだ。

 だって今まで何度も、最後の最後で手を引いてきた。きっと妃那は分かっているのだ。葉夜が彼女の尻拭いなんてしてくれないことを。あの男は妃那なんかにそこまで金を使う気はない。だから...

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