第64章

妃那視点:

まばたきしているうちに、祈葉の送別公演当日になった。

朝ベッドから起きると、そのままメイクさんとスタイリストに身を預ける。私は念を押した。

「とにかくツヤッツヤに、綺麗にして。絶対に会場でいちばん目立つ感じでお願い」

叶夜がその言葉を聞きつけて、くすっと笑った。

「俺の実家に挨拶に行く時でさえ、ここまで気合い入ってなかったのに。ふだんなんて、ほぼすっぴんでうろうろしてるくせにさ。何より楽さ優先だろ。なんで今日は、嫌いな人間に会いに行くのに、逆にそこまで気合い入れてんの?」

私は満面の笑みを浮かべる。

「嫌いな人間が、ようやく奈落の底に落ちたの。なら私は、これでもかっ...

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